好物 (苺の巻)

あの赤く愛らしい姿はなんとも言えず、一口で食べるなんて残酷なことはできない。

一粒、一粒、大切に食べてた。
『苺』




私が小さかった頃。

近所の靴屋のおばちゃんに大量の苺の
プレゼントを頂いた。

親戚の農家でいっぱい取ってきたらしく、なんと
バケツ山盛り持って来た。

チョット、これって牛のエサかい!(;^_^A

今だったらつっこむところだが、まだまだそんなことも感じないほど
純だった子供時代だ。

私は素直に喜んだ。

ところがこれが
もう!全く〜!(*^_^*) ってほど甘くて美味しい

大好きなものだったけどそれ以上に
好きになったのは言うまでもない。

夕飯までまだ時間もあったので、
「おやつに食べてもいい?」

と、母に聞くと以外にも簡単にOKがでた。

何より、この苺の量で
既に感覚が麻痺していた母何故か仕事用のボールを私に渡すと

「好きなだけ食べなさい。痛んじゃったらもったいないし」

などと気のきいたことを言ってくれた。

とても
純で無垢だった私はボールにいっぱいになるまで苺を入れ、ミルクを流し込みニコニコ顔で潰す作業にうつる。

手にはあの苺スプーンではなく、すりこぎ

それは、仕事用のボールが
直径30cmちかくあったからだ。やっぱり牛のエサ状態。







食べ始めて10分もすると始めのニコニコ顔は消えた。








勿体無いといっていた母も途中から苺ミルク撃退に参戦してくれたが流石に
気分が悪くなって敢え無く2人して撃沈

もう苺なんて見たくない


残りは生ゴミとして処分された。

それでも貰った苺は残っている。しかし私も母も見向きもしない。






数日後、残ってた苺も生ゴミとして処分された。



これが
トラウマとなって大人になった今も苺ミルクは食べられない

もちろん、某メーカーの
『いちご牛乳』だってみるだけで胸焼けがする。



私の人生の中で短い間、好物として存在してくれた『苺』、さようなら〜(^^)/
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金曜 午後5時
随分前のこと。

当時私は、東京都八王子市という都心の田舎に住んでいた。

そこでは市が5時になると『夕焼け小焼け』の曲を流して市民に時間を教えてくれていた。

子供にとっては何処にいても時間がわかる結構便利なチャイムだった。



その日も私は友人と外で話をしていた。他愛もない話だ。

その時・・・・・・・

近くのスピーカーから5時を告げるメロディが流れてきた。

彼女が慌てて「見たいテレビがあるから帰ろう〜っと!」と、言ったんだ。

おぉ!同士よ!「そうだよね。こんな時間だもん
もう始まっちゃったね。帰ろ!帰ろ!」と私。

「だってさ〜」とそこまで言うと、彼女はたたみかけるように

「そうよ。今週の
大草原の小さな家は絶対にみたいものね!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・うん

「じゃあ、また明日ね〜♪」

彼女は急いで自宅に帰っていった。












良かった。何も言わなくて。













そう私も今日は見逃せないと思ってたんだ。私にとっての金曜午後5時はアニメ
『グランゾート』の日だったんだけど。(^_^;)

しかし、黙って話をあわせておいた。お陰で今も彼女には私がアニメ好きだという秘密は守られている。


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英語の時間
一時期、仕事と称してある勉強に毎週名古屋に通っていた。

移動手段は環境問題も考えて(ウソ)電車を使ってた。

もう何年も昼間の時間に電車に乗るなんてことがなかったが、昼間、こんなに学生が多く乗ってるとは。

・・・・・・・聞こえてくる会話から、どうやら英単語の話をしているらしい。

最近の学生だってちゃんと勉強してるんだ!日本もまだまだ大丈夫。

あんな化粧してたって頭の中がまともなら大人に何を言われようがやりたいことをやりたい時にするるが一番だもんね。

などと自分と照らし合わせながら微笑ましく彼女達の会話を聞いていた。



「・・・・・・・・ねぇ、知ってる?宇多田ヒカルのあの『Automatic』」

(フフ、そうね勉強ばかりじゃ楽しくないもの芸能の話題だって・・・(*^_^*))


「あんた知らないだろうけど、あたしさぁ、知ってるんだよ。

あの
『Automatic』って”自動的”って意味なんだよ( ̄^ ̄)

「へぇ〜そうなんだぁ〜」


煤i ̄□ ̄;


彼女達は明らかに名古屋の高校生だ。


高校生になってその単語の意味を知ったのか。(中学でならってないか、おい!)

それも『宇多田ヒカル』がそのタイトルの歌を歌わなかったら未だ知らないままのだったのかも。


世の中小さな子供でも「オートマティックトランスミッション」なんて叫んでる時代なのに・・・・・・(-_-;)


やはり日本の将来が気になって自分だけはああはなるまいとその後も仕事と称して勉強に出掛ける事にした。


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母の頭髪
母は私がいうのもなんだけどとっても働き者である。

私の実家は商店なので家事と店で忙しいのは確かなんだけど、ホント一日休みなく働く母をみていると頭が下がるおもいだ。(手伝えよ!自分!)


そんな母だからか歳をおうごとに髪が白くなるだけじゃなく、薄くなってきたらしい。

頭が薄くなるのは小さい時は大人の男だけだと信じてたんだけど、最近のCMとか見てるそうでもないのはわかる。

が、自分の母がなるってことは私も将来は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-;)

でも母が気にするほど私からみるとたいして酷いわけじゃない。大丈夫だろう。


しかし、母にとっては
深刻な問題だったらしい。私のトコに電話を掛けてきては、

「今日も訪問販売の若い子が来てね、いいですよ〜〜〜って言うのよ〜とのたまう。

これはどうしても欲しいのかと思い、最近満足に親孝行もしてないし、多少高くてもいいやと一大決心をして一言、

「買ってあげようか?」と、言ってみた。

「フフ、いいのよ。あんなものつけたら蒸れちゃってまた毛が抜けるから。じゃぁね。またそのうち遊びに行くわ」

言いたい事だけ言ったら電話は切られてしまった。

まっ、そんなに気にするほど薄いわけじゃないからこれで落ちつくだろう。







そんなことがあったなんて
すっかり忘れた半年後母は突然遊びに来た

買い物したりして一日が過ぎようとした時に突然
不機嫌になるものだから「どうしたの?」と聞く。


「何時んなったら気がついてくれるのよ。お父さんも全然気が付いてくれないし

あんた
なのに気が付かないの!!」

大変ご立腹

私もしんどいのにこうして一日付き合ってやって怒られるとは心外だった。

さっきまでの和やかなムードはどっかにいってしまった。

「何、怒ってるの!!」

と、こっちも売り言葉に買い言葉。すると、

「・・・・・・・・・・・・・・どう?・・・・・?」





「別に、・・・・・いつもと一緒じゃない。ちゃんとまとまってるよ。」

「もう!・・・・・地肌、見えなくなってるでしょ!」


「!」




どうやら私のトコにくる数日前に例の
『部分かつら』を手に入れたらしい。

オーダーしてやっと手にしたものを私に自慢したいが為の今回の訪問だったのだ。(今頃気がついても仕方がないが)

内心今まで気がついてなかったのでフォローのしようがないが、取りあえず機嫌だけは損なわないようにしないといけない。

「あ!ホントだ!見えない!見えない!全然そんなもの付けてるようにも見えないし、いいじゃん♪

などと急いで機嫌をとってみたりする。(^_^;)

「でしょ!高かったのよ。でもいいの。外にでるのも気にならなくなったし」

「じゃ、もっと遊びにおいで」と、社交辞令を言ってみる。

「そんなこと言って。(笑)でもあんたも女なんだからもうちょっとちゃんと気が付かないとダメよ。」

と、言われてしまった。

しかし、どう見てもそんなに変わらないんだ。強いて言えば根元白髪が隠れてるくらいだと・・・・・言わずにおこう。

口は禍のもとである。

幾つになってもそんなところに気をつかう女であることは賞すべきこと。うん!

そう思って母を見た。





その後、機嫌を直し、歓んで母は、
「あんたんトコの方が物価安いじゃん!」と買い込んだ野菜たちとともに

JRの電車に乗り込んで帰って行った。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・所詮、その程度の女である。(-_-;)

血は脈々と私に受け継がれていることだろう。少々気が付かなかったからって怒るな!母よ!

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人の宝物 自分の宝物
私と一緒に生活をしてくれる貴重な存在がいる。

結構好き勝手な生活スタイルの私と暮してくれるとは、いろんな意味で感謝はしている。が、
問題が一つある

私達は二人とも
『物が捨てられないタイプ』のようだ。

それでも生活空間が汚染されてはいけない。捨てたくない雑誌も、いろんなトコで貰ったプライズも極力捨てるように心掛けてはいる。


でもやはり
狭い空間を広くするためには片付けなくてはいけない。


そう思って回りを見渡すと・・・・・・・・・・・
ある!ある!いらないものが!

それも大量だ!


これを片付ければ本棚の狭いスペースに入れられている、私の大事な本
『吸血鬼ハンターD』も広いトコに昇格だ。






相手も見つけたらしい。
それも大量に!!




『これを片付ければきれいなる』と、お互いが思ったらしい。







「おぃ、このアンジェリークグッズ

「ねぇ、このときメモグッズ」









それはお互いの
宝物であるが、同時に相手にとっては大量のゴミ同然のものだったらしい。







・・・・・・・・・・・・・・・・・今も我が家は狭いままである。(-_-;)


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グレープフルーツ
あのすっぱい柑橘のくだもの。

男性は苦手かもしてないけど私は好き。

お店で売られているものには果肉が普通の色(皮と似た色)をしている『ホワイト』と果肉の赤い『ルビー』がある。

比較的『ルビー』は甘いのでお勧めのもの。


以前、母にこのルビーを食べさせようと買ってきた。母は、『ホワイト』しか食べたことのない人。この甘さは知らない。


私が留守の時に食べようと思い、手にとったらしい・・・・・・・。



私が仕事から帰って冷蔵庫を覗くとグレープフルーツが一つもないので、母が食べたのだろうと思って聞いてみると、


「あんたちゃんと物を見て買ってきなさい。全部腐ってたよ!」


そう、『ホワイト』しか知らない母にとって『ルビー』は単なる腐ったものだったらしい・・・・・・・・・(-_-;)


キッチンの横のゴミ箱には半分に切っただけで捨てられたグレープフルーツが悲しそうに横たわっていた。





責めて一口食べてたら、こんなことにはならなかっただろうに・・・・・・・(^_^;)


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ヨーグルト
実家ではカップタイプのヨーグルトしか食べない。

1回食べきりサイズなので邪魔にならないからだ。

ある時、近所のおねいちゃんからそんな我が家にヨーグルトを頂いた。

おねいちゃんの家では家族が2人なので食べきれないらしい。(やった〜、ラッキ〜!)

私がヨーグルト好きなのを覚えていてくれたようだった。喜んで私は自分の部屋で幾つか食べ、残りを冷蔵庫に片付けておいたのだ。



しかし、我が家の好奇心いっぱいの母。

いつもは食べないくせに貰ったものとなるとどんな味なのか気になったらしい。

早速、翌日私のいない時間を見計らって(おいおい!)、封を開けたらしい。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヨーグルトは捨てられてしまった。





今夜もデザートはヨーグルト!と思って帰ってきた私にまたもや母は、

「あんた、昨日もらったヨーグルトもうくさっちゃたから捨てた」と言う。

(ヨーグルトってもともと発酵させたものだけど)(^_^;)


「なんかドロドロしてたよ。もう古かったんだね」




「!」



我が家はカップタイプのヨーグルトしか食べない。食べきりサイズで片付けやすいから。

中でもちょっとプリンのようになったものだけしか母はみたことがなかったらしい。



おねえちゃんに頂いたのは『ヨー○レイト』だった。


ヨー○レイトに、合掌!


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チーズ
またも見事にやってくれました。母よ!


それ臭いけど『ゴルゴンゾーラ』って言うんだってば。(^_^;)



余りによく起こるこんな出来事も毎年ある保健所の検査のせいだということを母の名誉の為に言っておく。

実家の店は食品関係。

食中毒騒ぎが家庭から出ては営業問題になってしまうから過敏な反応をしてしまう。




食品関係でこのものの知らなさがおかしいと思われる方。

お許しください。

我が家は和菓子関係なので実はこれらは知らなくてもいいのです。(^_^;)


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